「乗馬をやってみたいけど、体重が重いから馬に申し訳ない…」「太っている自分でも乗馬体験はできるの?」と不安に感じている方は少なくありません。
結論から言えば、体重が重めの方でも乗馬体験は十分に可能です。
ただし、施設や馬の種類によって体重制限が設けられているため、事前の確認が大切になります。
この記事では、乗馬における体重制限の具体的な基準や、なぜ体重制限が設けられているのか、体重が重い方が乗馬を楽しむためのポイント、さらには乗馬のダイエット効果まで、網羅的に解説していきます。体重を気にして乗馬を諦めかけている方は、ぜひ最後までお読みください。
乗馬に体重制限はあるの?結論を先にお伝えします
多くの乗馬クラブや乗馬体験施設では、騎乗者の体重制限を設けています。具体的な数値は施設によって異なりますが、一般的には80kg〜90kgを上限の目安としているところが多いです。なかには100kgまで対応可能な施設も存在します。
ただし「体重制限がある=太っている人は乗馬できない」というわけではありません。馬は非常に力強い動物であり、品種によっては体重が800kg〜1トンを超える大型馬もいます。そのような大きな馬であれば、体重100kgの方でも問題なく騎乗できるケースがあるのです。
つまり、大切なのは自分の体重に合った馬がいる施設を選ぶことです。体重が重めの方でも、事前に施設へ相談すれば適切な馬とプランを提案してもらえることが多いので、まずは気軽に問い合わせてみましょう。
乗馬の体重制限は具体的に何キロ?施設ごとの目安
乗馬施設や乗馬クラブごとに設定されている体重制限はさまざまです。ここでは一般的な目安を紹介します。
多くの乗馬クラブでの体重制限の目安
大手の乗馬クラブチェーンであるクレインでは、体重90kg以下を目安としています。そのほかの施設でも、概ね以下のような基準が多く見られます。
| 施設のタイプ | 体重制限の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 一般的な乗馬クラブ | 80kg〜90kg | サラブレッド中心の施設に多い |
| 大型馬を飼育する施設 | 90kg〜100kg | 重種や大型の中間種がいる場合 |
| 観光地のポニー乗馬 | 50kg〜70kg | 小型馬のため制限が厳しい |
| 引き馬体験 | 90kg〜100kg程度 | スタッフが馬を操作するため比較的緩い |
なお、施設によっては男女で体重制限を分けているところもあり、「男性80kg・女性70kg」といった設定をしている場合もあります。これは体格や重心の違いなどを考慮したものです。
ホームページに記載がない場合
すべての乗馬クラブが公式サイトに体重制限を明記しているわけではありません。記載がない場合は、予約前に電話やメールで個別に問い合わせることをおすすめします。乗馬クラブのスタッフは体重に関する相談に慣れていますので、遠慮する必要はまったくありません。
なぜ乗馬には体重制限があるのか?その理由を詳しく解説
乗馬に体重制限が設けられている理由は、主に「馬の健康と安全」と「騎乗者自身の安全」という2つの観点があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
理由①:馬の健康と福祉を守るため
馬は大きくて力強い動物ですが、背中や脚に過度な負担がかかると故障の原因になります。一般的に、馬が安全に背負える重さは、馬自身の体重の20〜30%が上限とされています。この数字には騎乗者の体重だけでなく、鞍(くら)や腹帯などの馬具の重量も含まれます。
馬具の重さは鞍だけで約5〜10kg、その他のゼッケンや鐙(あぶみ)なども合わせると約2kg程度になります。つまり、人間の体重に加えて10〜12kg程度の馬具の重さが馬の背中にかかることになるのです。
研究によると、騎乗者と馬具を合わせた重量が馬の体重の20%を超えると馬への負担が大きくなり始め、25%を超えると馬の心拍数が上がったり息が乱れるようになります。30%を超えてしまうと、馬の背中や脚を痛める原因となるため、馬の福祉の観点からも制限が必要とされているのです。
理由②:騎乗者の安全を確保するため
体重が重い方がバランスを崩した場合、インストラクターが支えきれないリスクがあります。また、馬にとって負担が大きい状態で騎乗すると、馬が不安定な動きをしてしまい、落馬の危険性が高まることも考えられます。
乗馬クラブが体重制限を設ける背景には、このように馬と人の双方の安全を守るという大切な理由があるのです。
馬の種類と体重制限の関係|大型馬なら重い人も乗れる?
馬にはさまざまな品種があり、それぞれ体重や体格が大きく異なります。騎乗者の体重制限は、この馬の品種と体格に大きく左右されます。
馬の種類別の体重と騎乗者の目安
| 馬の種類 | 馬の平均体重 | 騎乗者の体重目安(馬具含む20〜30%) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 重種(ばん馬など) | 800kg〜1,000kg超 | 〜約160〜300kg | 力持ちで体が大きく、重い人も騎乗可能 |
| 中間種(クォーターホースなど) | 400kg〜500kg | 〜約80〜120kg | 温厚な性格で乗馬に向いている |
| 軽種(サラブレッドなど) | 450kg〜500kg | 〜約90〜140kg | 乗馬クラブで最も多い品種 |
| ポニー | 60kg〜300kg | 〜約12〜60kg | 子ども向け。大人の騎乗は難しい |
上記の表から分かるように、重種と呼ばれる大型馬であれば、体重100kgの方でもまったく問題なく乗ることができます。また、乗馬クラブで最も多く使われているサラブレッドでも、体重470〜500kg程度あるため、理論上は90kg前後の方なら十分に対応できる計算になります。
ただし、あくまで上記は理論値です。個々の馬の健康状態や年齢、脚の状態によっても異なりますので、実際には施設のスタッフの判断が最も信頼できる基準となります。
体重が80kg・90kg・100kgの場合、乗馬できる?
ここでは具体的な体重別に、乗馬体験が可能かどうかを解説します。
体重80kgの場合
体重80kgであれば、ほとんどの乗馬クラブで問題なく乗馬体験が可能です。サラブレッドやクォーターホースなど一般的な乗用馬であれば十分に対応できる体重です。特に事前の相談をせずとも、通常のプランで楽しめるでしょう。
体重90kgの場合
体重90kgはちょうど多くの乗馬クラブが設定している上限の目安にあたります。施設によっては問題なく受け入れてもらえますが、事前に体重を伝えておくと安心です。90kg前後の方は大きめの馬を配馬してもらえるよう、予約時に相談しておくとスムーズです。
体重100kgの場合
体重100kgとなると、すべての乗馬クラブで対応できるわけではありませんが、不可能ではありません。大型馬を飼育している施設や、引き馬体験であれば受け入れてもらえる場合があります。550kgの馬であれば、馬の体重の20%でも110kgまで負担が少ないとされていますので、大きな馬がいるクラブを探してみてください。
体重100kg以上の場合
体重100kgを超えると、対応できる施設はかなり限られてきます。ただし、重種の馬がいる施設や北海道のばんえい競馬関連の施設など、大型馬を扱っているところでは相談に応じてもらえる可能性があります。いずれにしても、まずは施設に正直に体重を伝えて相談することが最も大切です。
体重が重い人が乗馬を楽しむための5つのポイント
体重に不安がある方でも、以下のポイントを押さえれば安心して乗馬体験を楽しむことができます。
①事前に施設へ体重を伝えて相談する
予約の段階で体重を正直に伝えましょう。乗馬クラブにはさまざまな体格のお客様が訪れますし、ダイエット目的で入会する方もたくさんいます。恥ずかしがる必要はまったくありません。正確な体重を伝えることで、適切な馬を配馬してもらえます。
②大型馬がいる施設を選ぶ
ポニーや小型馬しかいない牧場では体重を理由に断られる可能性が高くなります。さまざまな品種を飼育している大規模な乗馬クラブや、大型馬を中心に飼育している施設を選ぶと、受け入れてもらえる確率が高くなります。
③引き馬体験から始めてみる
通常の乗馬レッスンでは騎乗者が自分で馬を操作しますが、引き馬はスタッフが馬の手綱を持って歩いてくれるスタイルです。引き馬であれば馬のスピードがゆっくりで負担も少ないため、通常のレッスンよりも体重制限が緩く設定されていることが多いです。例えば天城ホースビレッジでは、通常の騎乗が80kg未満のところ、引き馬なら90kg未満まで対応しています。
④正しい姿勢を意識する
乗馬において、体重の数値そのものよりも「乗り方」が馬への負担に大きく影響します。背筋を伸ばしてバランスよく座ることで、体重が馬の背中全体に分散され、馬も楽に歩くことができます。逆に、体重が軽くても姿勢が悪いと馬の特定の部位に負担が集中してしまいます。インストラクターの指示をしっかり聞いて、正しいフォームを心がけましょう。
⑤動きやすい服装を選ぶ
伸縮性のあるパンツやしっかりとした靴を選ぶことで、騎乗時のバランスが安定しやすくなります。乗馬に適した服装は体重に関係なく大切ですが、体重が重めの方は特にバランスの安定が重要になるため、服装選びにも気を配りましょう。
乗馬用の馬は競走馬とは違う|体重をそこまで気にしなくてよい理由
「競馬のジョッキーはあんなに軽いのに、自分のような体重で大丈夫なのだろうか」と心配する方も多いでしょう。しかし、乗馬用の馬と競走馬では、そもそも求められるものがまったく異なります。
競走馬は成長途中の若い馬(主に2〜5歳)であり、高速で走るためにジョッキーの体重を極限まで軽くする必要があります。一方、乗馬クラブで使われている馬は骨の成長が完了した6歳以上の成馬がほとんどです。成熟した馬の骨格や筋肉はしっかりと発達しており、ある程度の体重の人を乗せることに問題はありません。
また、乗馬と競馬ではスピードもまったく異なります。乗馬体験では常歩(なみあし)と呼ばれるゆっくりとした歩行が中心となるため、馬にかかる衝撃も少なく、体重による負担は最小限に抑えられます。
体重が重いことのメリット・デメリット
乗馬において、体重が重いことには意外なメリットも存在します。デメリットと合わせて知っておくことで、乗馬をより楽しめるようになるでしょう。
メリット
体重がある程度重い方は、馬に対して強い推進力を与えることができます。特に障害飛越などの競技においては、ここぞという場面で馬を力強く後押しできるという強みがあります。海外の馬術競技では大柄な選手も多く活躍しており、体重が重いこと自体が上達の妨げになるわけではありません。
デメリット
体重が重いと、馬への負担が大きいだけでなく、騎乗者自身も体力的にきつく感じることがあります。乗馬は見た目以上に全身の筋肉を使う運動であるため、運動不足の状態だと最初は辛いかもしれません。しかし、これは逆に言えば乗馬を続けることで体力がつき、ダイエット効果も期待できるということです。
乗馬はダイエットにも効果的!消費カロリーと運動効果
「体重が気になるから乗馬をためらっている」という方にぜひ知っていただきたいのが、乗馬そのものがダイエットに非常に効果的なスポーツであるという事実です。
乗馬の消費カロリーは意外と高い
乗馬は座っているだけに見えますが、実際には馬の動きに合わせてバランスを取るために全身の筋肉を使う有酸素運動です。10分あたりの消費カロリーを他のスポーツと比較すると以下のようになります。
| スポーツ | 10分あたりの消費カロリー(目安) |
|---|---|
| 乗馬 | 約46kcal |
| エアロビクス | 約42kcal |
| サイクリング | 約37kcal |
| ゴルフ | 約34kcal |
| ウォーキング | 約33kcal |
乗馬の運動強度は5.5METs(メッツ)と定められており、これはジョギングやバレーボールと同程度の運動強度です。1回のレッスン(約45分)で約160〜200kcalを消費する計算になり、馬のお世話や準備の時間も含めるとさらに消費カロリーは増えます。
乗馬で鍛えられる体の部位
乗馬では特に以下の部位の筋肉が効率的に鍛えられます。
まず、馬上でバランスを保つために腹筋と背筋が常に使われます。これによりインナーマッスル(体幹)が鍛えられ、基礎代謝が向上します。基礎代謝が上がれば、日常生活の中でも消費カロリーが増えるため、太りにくい体質へと変化していきます。
次に、馬の背中をしっかり挟むために太ももの内側の筋肉(内転筋)が鍛えられます。内転筋は日常生活では使いにくい筋肉ですが、乗馬では自然と鍛えることができるため、美脚効果も期待できます。
また、馬にまたがることで股関節が柔軟になり、リンパの流れが改善されて老廃物が排出されやすくなるという効果も報告されています。
乗馬ダイエットのメリット
乗馬がダイエットとして優れている最大の理由は、「楽しみながら続けられる」という点です。ジムでの筋トレやランニングのような義務感がなく、馬とのふれあいを楽しみながら自然と運動ができます。実際に乗馬を始めて5kgの体重減少を経験した方もいるなど、楽しく継続できるダイエット法として注目されています。
さらに、乗馬はオリンピックでも70歳以上の選手が活躍するほど年齢を問わないスポーツであり、長く続けられるのも大きな魅力です。
体重制限以外に確認しておきたい乗馬体験の条件
乗馬体験には体重制限以外にもいくつかの条件が設けられている場合があります。スムーズに乗馬を楽しむために、以下の点も事前に確認しておきましょう。
年齢制限
多くの乗馬クラブでは、手綱を自分で操作できる目安として6歳(小学生)以上を対象年齢としています。上限については特に設けていない施設が多く、70代でも楽しんでいる方は大勢います。
身長制限
馬を操作するための身長の目安として、125cm以上を条件としている施設が一般的です。これは主に小さなお子さまに対する安全基準です。
健康状態・持病の確認
妊娠中の方や、重度の腰痛・心臓疾患・てんかんなどの持病がある方は、騎乗が制限される場合があります。不安がある場合は事前に医師と施設の両方に相談しておくと安心です。
服装の注意点
スカートやだぼついた服装は馬具に引っかかる危険があるため、乗馬には適しません。長ズボンとスニーカー(またはブーツ)を基本とし、ヘルメットは施設でレンタルできることがほとんどです。
体重が気になる方におすすめの施設の選び方
体重に不安がある方が乗馬施設を選ぶ際は、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
大規模な乗馬クラブを選ぶ
飼育している馬の頭数が多い大規模な乗馬クラブであれば、さまざまな体格の馬がいるため、体重が重い方にも対応できる可能性が高くなります。全国展開している乗馬クラブクレインなどは各地に施設があり、体重90kgまでを目安としています。
公式サイトで体重制限を確認する
多くの乗馬クラブは公式ホームページに体重制限を記載しています。まずはウェブサイトを確認し、記載がない場合は電話やメールで問い合わせましょう。
体験プランの種類をチェックする
施設によっては、通常の乗馬レッスンのほかに引き馬体験やホーストレッキングなど複数のプランが用意されています。引き馬であれば体重制限が緩いことが多いので、まずは引き馬から始めてみるのも良い選択肢です。
口コミや体験談を参考にする
実際に体重が重めの方が利用した口コミや体験談も参考になります。「体重90kgだけど楽しめた」「100kgでも大型馬に乗れた」といった体験談は、同じ悩みを持つ方にとって心強い情報源です。
乗馬体験の一般的な料金と流れ
最後に、乗馬体験の料金と当日の流れについても簡単に紹介しておきます。
料金の目安
初心者向けの乗馬体験コースは、施設やコース内容にもよりますが、およそ4,000円〜8,000円程度が相場です。ヘルメットやブーツのレンタル料が別途かかる場合もありますので、予約時に確認しておきましょう。外乗(ホーストレッキング)の場合は30分5,000円〜、1時間8,000円〜程度が目安となっています。
当日の流れ
一般的な乗馬体験の流れは次のようになります。まず受付でヘルメットやプロテクターなどの安全装備を着用し、インストラクターから基本的な乗り方や合図の出し方などの説明を受けます。その後、実際に馬に乗って馬場内を歩いたり、少し速い速歩(はやあし)を体験したりします。体験時間はコースによって20分〜60分程度です。
まとめ|体重を理由に乗馬を諦めないで!
この記事のポイントをまとめます。
乗馬には体重制限がありますが、多くの施設で80kg〜90kgまで対応しており、大型馬がいる施設なら100kgでも乗馬可能です。体重制限は馬と騎乗者の安全を守るために設けられたものであり、適切な馬と施設を選べば、体重が重めの方でも安全に楽しむことができます。
大切なのは事前に施設へ体重を伝えて相談すること、そして大型馬がいる施設を選ぶことです。引き馬体験から始めれば、体重制限が比較的緩いため、初めての方も安心です。
さらに乗馬はダイエット効果も高く、楽しみながら全身運動ができるスポーツです。体重を気にして乗馬を諦めるのはとてももったいないことです。まずは気軽に乗馬クラブに相談して、馬とのふれあいという素晴らしい体験への第一歩を踏み出してみてください。